戦略立案と準備の技術について説明します。 戦略準備の技術については、以下の2点が重要になります。
まず、戦略シナリオの作成についてです。 ここでは、相手と利害について切り離し、相手と利害の相関チャートを作ることは非常に有効となります。 つまり交渉においては、相手の立場や利害に焦点を合わせて作戦を考えることが有効なのです。
交渉相手、決定権者、影響者、競合相手、背景となる法的環境や社会・経済環境など、 分析した情報をチャート化し、相関関係を見ると戦略シナリオが作成しやすくなります。
原則立脚型交渉とは、ハーバード大学が教えている交渉の技術でです。 戦略立案の技術として、ハーバード大学は原則立脚型交渉を教えています。 原則立脚型交渉では、双方が満足できる選択肢をできるだけ多く考えることが必要があります。 最終結果は、客観的な基準で考えるのが基本となります。
原則立脚型交渉の基本には、次の4つのポイントがあります。
1つ目は、人と問題を分離することです。
交渉相手と過去に交渉したことがある場合、 どうしても先入観を持ちますが、 交渉はあくまでもビジネスの一環であり、 交渉の課題に対して交渉しているのであり、 人とは切り離すことが重要です。
2つ目は、立場でなく、利害に焦点を合わせることです。
立場に配慮する必要があることがありますが、 ビジネスにおいては、利害が交渉のキーファクターです。
3つ目は、双方が満足できるであろう選択肢をできるだけ多く考えることです。
少なくとも3つは選択肢を準備しておく必要があります。
4つ目は、交渉結果を客観的な基準で考えることです。
次は、交渉パートナーと役割分担を行います。
例えば、「交渉相手から情報を引き出すのはどちらか」 「交渉相手への説明は誰がどうするのか」などを決めます。 進行役、時間管理役、交渉の主体者について、 あらかじめ決めておく必要があります。 重要な交渉の場合は、事前に交渉の練習をしておくことも必要です。
次に、ABCプランを作成します。
ABCプランとはいくつかのプランをランク付けしたものです。 重要度、優先度を考慮して、最低でも3つのプランを作成しておくことが必要です。
交渉のアプローチとしては、2つの方法があります
一つは、少しずつ合意を重ねていく積み上げ型交渉です。 この場合は、交渉内容が予想もしない方向に展開するとうまく進まないことがありますので、 注意してください。
もう一つは、先に最終合意を取り付けて、 後で細かい条件を決めていく最終合意型です。 この場合、最初に決める最終合意がかなり固まっていないと 実質的に不利益を被ることがありますので、注意してください。
特に譲歩限度を決めておき、それ以上の場合は大切です。 交渉時は、安易な妥協をしないことをあらかじめ決めておくことは非常に有効です。 ハーバード大学では、これを「BATNA【バトナ】(Best Alternative to a Negotiated Agreement)」と呼んでいます。
このBATNAは「合意しない勇気」とも呼ばれており、 交渉で合意が成立しない場合の最善の代替策を準備する必要性を教えているものです。 交渉の譲歩限度を決めておくと安易な妥協にならず、 あらかじめ準備した代替策を用いて次の交渉につなげる方法も活用できます。